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作曲家紹介

SATOH Masahiko佐藤 允彦

佐藤 允彦

慶応義塾大学卒業後、米国バークリー音楽院に留学、作・編曲を学ぶ。帰国後は数多くのアルバム制作に携わり、国際的にも高い評価を得ている。また、ベルリン、ドナウエッシンゲン、メールス、モントルーなどのジャズ・フェスティバルへも出演し、国内に止まらない広範な活動は常に注目を集めている。1997年に自己のプロデュース・レーベル〈BAJRecords〉を創設。ピアノ・ソロ・シリーズやバッハをモティーフにした佐藤允彦トリオ『巴翁戯楽』を発売するなど、その活躍はますます多面化するばかりである。

SIMOON

[ 作品解説 ]

Simoom シムーンはアラビア半島や北アフリカの砂漠に吹く砂嵐です。6月から8月にかけて起こり、温度は54℃を越え湿度は10%を切るとか。竜巻のようになって人間や動物を窒息させるほどなので別名を「毒の風」と言います。
曲は、そのような熱風をイメージしてアラブ音楽風の旋律とリズムで構成されています。ただし、実在するアラブ音楽の音階構造(maqam マカーム)、リズム構造(iqa イーカー)を用いているわけではなく、アラブ音楽奏者との共演を経て私のなかに育ってきた想像の産物です。
基本的なリズムは11/8拍子ですが、4/4+3/8→3/4+3/8+1/4→2/4+3/8+2/4→1/4+3/8+3/4→3/8+4/4→
1/4+3/8+3/4→2/4+3/8+2/4→3/4+3/8+1/4というように3/8が規則的に浮動します。また和音は随所で上部と下部がふたつの異なる和音を積み重ねた形になっています。たとえば上部=Emajor7、下部=D♭+、というような。つまりこの曲は演奏者にとっても聴き手にとっても耳慣れないサウンドとリズムをもつ相当毒性の強い「偏屈」なものなのだろうと思われます。
今まで食べたことのない強烈なスパイスを使ったエスニック料理みたいなものでしょうか。嫌いな人は顔をそむけたくなるかも知れませんが、一度好きになったら毎日でも食べたい、もっと刺激が欲しい、と病み付きになっても作曲者の関知するところではありません。
最後のE-3という部分は、もし演奏者が望み、スタミナが許せば何度でも繰返して下さい。そのうち砂丘の彼方からアラブの軍勢が鼓笛隊を先頭に粛々と迫ってくる光景が立ち現われる…かも。

[ 編成 ]

Flute 1,2(Picc.)

B♭ Clarinet 1,2,3
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxohone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba

Percussion (S.D. / B.D. / Cymb. / Sus.Cym. / Tom-tom(low,mid,high) / Frame Drum / Tambourine)

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