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作曲家紹介

YAMANAKA Chikako山中 千佳子

山中 千佳子

三重県生まれ、岡山県出身。3歳からピアノ、12 歳から作曲を始める。東京藝術大学音楽学部作曲科を首席卒業。同大学大学院音楽研究科作曲専攻修士課程修了。藝大学部3年次に第74 回日本音楽コンクール作曲部門入選(2005)。武満徹作曲賞第3位受賞(審査員: トリスタン・ミュライユ/2010)。ルトスワフスキ生誕100 周年記念国際作曲コンクールにて、唯一のアジア人として佳作受賞(2013)。また同年、ジュネーヴ国際音楽コンクール作曲部門にて、日本人初となる二つの特別賞《Prix du public》と《Prix“Jeunepublic”》をダブル受賞 (2013)。近年は、東京オペラシティ文化財団企画のB → C 公演における委嘱作曲家として、連続して作品を発表。特にソプラノの藤井玲南氏の委嘱によるモノ・オペラ「巫~ Kannagi ~」(2020)は、「音楽の友」のコンサート書評でも絶賛された。2021 年、山田和樹氏からの委嘱を受け書き下ろした二つの室内楽曲が同時に出版され話題を得る。主要作品は独奏曲からオーケストラ作品まで幅広く、また自ら作詞も行い、言葉と音によって普遍的なメッセージや世界を表していく合唱作品などにも、注目が集まっている。

天上の花束

[ 作品解説 ]

 私の恩師である「故・尾高惇忠先生へのオマージュを書いてほしい」という大きなテーマを受けて、悩んだ末に書き上がった楽曲です。東京藝術
大学名誉教授として数多の若手をご指導された尾高先生は、2021 年2月末にご逝去されました。
 駆けつけた逗子教会でのご葬儀、式終わりの献花にて、棺の中の、先生の小柄なお身体の周りに、皆で山ほどの花を捧げました。色とりどりの花に包まれて安らかに眠られる先生のお姿は、私に深い印象を残しました。
 曲全体は、天上の恩師に花束を贈るというイメージで(死後もなお各地で初演・再演される尾高先生の作品群に敬意を評して)、トリルやトレモロ、同音形の反復奏法などで、花々が鮮やかにきらめく様を描きます。また、終盤のトランペットで哀悼のコラールが捧げられ、天上の世界が明るく美しいことを描いて、華やかに揺めきながら終曲します。どうぞ、大切な故人を想い出しながら演奏し、お聴きいただければ幸いです。

[ 編成 ]

Flute(Piccolo) 1,2
Oboe
Bassoon

B♭ Clarinet 1,2,3
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone(B♭ Soprano Saxophone) 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass

Timpani (Suspended Cymbal)
Percussion 1 (Glockenspiel / Bass Drum / Rainstick)
Percussion 2 (Vibraphone / Tubularbells / Wind Chime)
Percussion 3 (Marimba / Suspended Cymbal / Tubularbells)
Percussion 4 (Triangle / 5 Wood Blocks / Tubularbells / Suspended Cymbal / Tam-tam / Snare Drum)

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