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□悲しいだけ
1977年(昭和52年)
群像10月号に発表
第32回野間文芸賞受賞(昭和54年)

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私は毎年の文学賞はみな十一月まえに終わるものと思っていたから、自分の短篇集が野間賞に選ばれたと告げられて吃驚した。
私は作も年に短いもの一篇か二篇で、その殆ど全部を「群像」に出してもらってきたのだし、売行きの好くない本も九十パーセントは講談社からだしてもらってきたのだから、今度そこの賞をもらうことになったに就いては特別の嬉しさがある。
「悲しいだけ」については、自分より齢下の人からいい齢をして未練たらしいとケナされたということを聞いたが、私は自分が本当にメソメソしているということを本気で書いたのだから仕方がない。それはそれで仕方がないのだから、みっともなくても許して欲しい。
これまで勝手なことを書いてきたことに就いては自分でも気がさすことがあり、そういう傲漫さが自分にあることを知って反省してもいる。そういうあれこれを寛大に見てくださった審査員の諸氏に心からお礼を云いたい。
(受賞の言葉) |


浜松文芸館の庭には、「田紳有楽」に登場する蹲踞(つくばい)や、藤枝静男が志賀直哉邸の庭のシクザクロの実から育てたシクザクロの樹が保存されています。


