-アンサンブルを始めたきっかけは?
佐藤/ 芸大の時、私と小池さん、松崎さんともう1人同級生の子で、授業の中で組んだのが始まりですね。芸大だとソロのレッスンが中心ですが、アンサンブルも単位 があり、必ずやらなくちゃいけないんです。フルートアンサンブルって今でもマイナーですけど、芸大でもあまり積極的にやる人がいないんですよ。本当は木管 五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)という編成のほうが曲もたくさんあって、先生も熱心に教えてくれるのでそちらをやりた かったんですけど。フルートは大変人気があって、専攻している人数も多いので余ってしまう人が出てくるんですね。私たちは余ってしまって、仕方がなく4人 で大学2年生の時に始めたんですけど、やってみたら結構楽しいなと思って。授業が終わってからも細々と続けるようになったんですが、そのうち1人が留学し てしまったので、その後に郡さんが入ったんです。-ソロとアンサンブルではどのような違いがありますか?
佐藤/ 私の場合は1人で練習するのがすごく退屈で、努力して練習する感じになるんですよね。目標も自分で決めなくてはならないし、迷っても自分1人で考えなくて はいけない。結構暗い感じで練習してたんですよ、芸大の頃とか受験の時とか。どちらかというと、楽しいというより、辛い方が多かったですね。
小池/それは大学院に入ってからもずっとそうで、練習がおもしろいと思えるようになったのはカルテットでやるようになってからですよね。
佐藤/4人だと自分1人では気づかないところを人から言ってもらえたり、曲を作る時も4人で話し合いながらやると自分だけでは出てこないようなアイディアが出てきたり。あと、お互いに客観的に見ながらできるので、独りよがりにならないで済むような気がするんですよね。
-コンサートでの役割分担は?
小池/だいたい決まっていて、トーク担当は私ですね。
佐藤/ ほかの3人もお話しますけど、小池さんがまとめ役というか、進行役というか…。パートでいくと、小池さんがフルート、私の場合はアルトフルートが多くて、 郡さんがピッコロ、浜松出身の松崎さんは、バスフルート担当です。普段は7本4種類のフルートを使っているんですよ。小池さん以外の3人は持ち替える時間 があるので、その時小池さんがお話でつないでくれて。ほかの3人も加わるんですけれど、結局、最後は小池さんがまとめるんですよ。
-バスフルートとは初めてお聞きしますが…。
松崎/普通のフルートのちょうど2倍くらいの長さ、3倍くらいの太さがあって、長すぎて手が届かないので曲がっているんですよ。
佐藤/ フルートでも高い音と低い音では吹き方がちょっと違うんですよ。だから、高音が得意な人もいれば低音が得意な人もいて、このメンバーでバスフルートがすご くうまいのが松崎さんなんですよね。ほかの3人が吹いても音は出ますけど、「絶対こんなにうまく吹けない」っていつも思うんですよ。
松崎/ 「浜松フルートクラブ」という趣味でフルートを吹いている人たちの集まりがあって、私のフルートの先生が参加していたんです。そこにバスフルートが何本か あって、高校生のときに初めて使わせてもらいました。最初は全然音が出なくって、クラブにいるおじさんたちから「ああ、ちょっと出てるねぇ」なんて言われ ながら…
メンバー/ふーん、そんなにかわいい頃からねぇ(笑)
松崎/この前浜松で演奏会を開いたときも、そのおじさんたちが聴きに来てくれたんですよ。
-コンサートの構成を考えるのはみなさんで?
小池/そうですね。2時間のコンサートを前半と後半に分けて、途中で15分くらいの休憩をいれるんです。前半はクラシックの有名な曲、後半は映画音楽とかポップス調の曲で親しみやすい選曲になっています。
佐藤/ クラシックはフルートの曲ではなくて、オーケストラやピアノの曲をアレンジします。たった4人でオーケストラの曲をやるんですよ。最近のレパートリーで は、昨年出した『RussianWind白鳥の湖』っていうアルバムがあるんですけど、これはロシアの有名なオーケストラ作品が中心で、チャイコフスキー の3大バレエの曲やムソルグスキーの『展覧会の絵』などをフルート4本だけで演奏しています。みなさんご存知の曲なんですが、フルートでは普通やらない意 外な曲が多いと思います。2年前、浜松で演奏会をしたときも多くのお客様に来ていただきましたが、2年前と今とでは全然レパートリーが変わっているので、 もし前回聴いていただいた方がいらっしゃったとしてもまた新しい曲をいっぱい聴いていただけると思います。
-今後の予定は?
佐藤/ やっていきたいことがいっぱいあります。クラシックのレパートリーを増やしたいというのがひとつ、クラシック以外にポップス系の曲もやっているんですけれ ど、それを発展させていきたいというのがひとつ、フルート人口やクラシックを聴く人をもっと増やしたいという3つがあります。
フルートアンサンブルとして仕事をしているのは、私たちが初めてだと思うんですよ。なぜかというと、とにかくレパートリーが少ないんですよね。フルート4 本のために書かれた作品っていうのが、もともとすごく少ないんです。まず、大作曲家は誰も書いてないし、ここ100年くらいの間でもフランスなどで教材的 に何曲か書かれてるだけなんですよね。私たちは、最初からある曲ではなくて、自分たちで新しいレパートリーをどんどんアレンジして開拓してきたので、これ はこれからも続けていこう、と思っています。
小池/ポップス方面では、映画音楽の他に、ラテン系がフルートに合うと思うので、挑戦したいと思っています。
佐藤/今までクラシックをあまり聴かなかった人や、フルートに興味がなかった人も聴きに来てくれるんですよ。そのなかで、「自分も楽器をやりたいな」と思う人がだんだん増えてきているようで、フルートやってみようっていう動きが広がればいいなと思っています。
私も最初始めたときそうでしたけど、楽譜が単純なのでやりやすいと思うんです。ただ、フルートって1人で吹いていると単旋律なので、ピアノと違って逆にそ こがつまらなくなるんですよね。私たちみたいにアンサンブルをするとフルートだけでも楽しいということを知ってもらえればと思います。
小池/ フルートアンサンブルの魅力は、フルートの音が4つ重なるとすごく華やかな響きになることだと思います。木管五重奏もありますけど、楽器がひとつずつ違う ので響きがまとまらないというか、ちょっと暗い感じになるんです。それはそれで好きな方もいらっしゃいますけど。フルートの音色って軽やかじゃないです か。それが4つ重なるとすごく明るい良い響きになるんですね。初めてアンサンブルをやったときにそこが一番魅力的だと思いました。
佐藤/本格的にやるわけではなくても、フルートを吹き始めた人にはぜひアンサンブルをやってほしいなと思いますね。
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