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松竹大歌舞伎

亀治郎

知らざぁ言って聞かせやしょう!

恒例の松竹大歌舞伎は市川段四郎、市川亀治郎の親子共演です。常に新しい分野に意欲的に挑戦し、高い評価を受けている亀治郎のNHK大河ドラマ「風林火山」での武田信玄役は記憶に新しいところ。若手随一といわれる実力派、そして、誰よりも歌舞伎を愛してやまない亀治郎の舞台にご期待ください。

演目解説

一、操り三番叟(あやつりさんばそう) 長唄囃子連中

「三番叟」と書かれた箱の中から、後見(こうけん)が、三番叟(さんばそう)の操り人形を取り出し、手足に糸を結びます。糸を上に引き上げると、人形はまるで命が吹き込まれたように動き、五穀豊穣、豊年満作を祈る目出度い三番叟の舞を舞い始めます。
しかし踊りが激しくなるうちに手足の糸が絡んで人形はぐるぐる回り始め、とうとう動かなくなってしまいました…。

踊りにも定評のある亀治郎が、亀鶴扮する後見と息を合わせ、三番叟を溌剌と踊ります。
糸で操られる人形は当然人間のようには動けません。その不自由な動きをまねて踊るのが眼目の作品ですが、あえて不自由に動くには技術が求められることは言うまでもありません。
絡んだ糸が切れて後見が結び直したりなど、まるで見えない糸がそこにあるかのように思えてくる、楽しさあふれる華やかな舞踊です。

二、御目見得 口上(おめみえ こうじょう) 一幕

荘重なお囃子とともに幕が開くと、色とりどりの裃に威儀を正した俳優たちが平伏しています。俳優たちの着ている裃はそれぞれの家によって色が決まっているのです。
東西東西という声がかかり、顔を上げた俳優たちから、順番にご当地のお客様にお目見得のご挨拶を申し上げます。

口上というのは、俳優が舞台から客席にむかって挨拶をすることで、客席との交流を大事にする歌舞伎独特のしきたりです。
今回はご当地の皆様方に、お目にかかった喜びを申し上げる御目見得口上の一幕をお楽しみいただきます。
ご贔屓の俳優の、舞台姿とは違う一面が伺えると好評の、和やかな中にも古式ゆかしい一幕です。

三、弁天娘女男白浪 (べんてんむすめめおのしらなみ)
   浜松屋より勢揃いまで  二幕

鎌倉の呉服屋浜松屋に、美しい武家娘と供の若侍がやってきました。ところが娘が万引きをしたと思いこんだ番頭は、娘をそろばんで叩き、顔に傷をつけてしまいます。
ところが万引きは濡れ衣。浜松屋の主人、幸兵衛(こうべえ)も出てきて詫びますが、若侍は店の者を斬ると言って聞きません。
そこへ侍が現れ、娘に向かい、意外なことを言い出しました…。(浜松屋店先の場)
桜の咲き乱れる稲瀬川。白浪五人男と名も高く、義賊ともてはやされている、五人の盗賊が現れます。待ち伏せをしていた捕り手を前に、頭領の日本駄右衛門(にっぽんだえもん)はじめ、弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)・忠信利平(ただのぶりへい)・赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)・南郷力丸(なんごうりきまる)はそれぞれ名乗りをあげるのでした。(稲瀬川勢揃いの場)

 浜松屋の場の「知らざあ言って聞かせやしょう」という名台詞はもちろんのこと、洗練され練り上げられた演出は歌舞伎の面白さ、楽しさにあふれています。
また、稲瀬川は短い幕ですが、勢揃いした五人男の名乗りのツラネの台詞、衣裳の柄、陰で伴奏している音楽などが、すべて五人男に合わせて変えられており、幕開きから幕切れまですべてが見所聞き所です。
歌舞伎をよくご覧になる方はもちろんのこと、初めて見る方にも必ずやお楽しみいただける一幕です。
弁天小僧をつとめるのは亀治郎。亀鶴の南郷力丸という活きのいい二人に加え、竹三郎が浜松屋幸兵衛で舞台を引きしめます。
また、日本駄右衛門には段四郎が扮し、五人男の頭領にふさわしい貫録を見せます。 
一座が総出演でつとめる舞台にどうぞご期待ください。


プロフィール

プロフィール

市川亀治郎 二代目 澤瀉屋

東昭和50年11月26日生まれ。市川段四郎の長男。58年歌舞伎座『御目見得太功記』の禿たよりで二代目市川亀治郎を名のり初舞台。平成10年7月歌舞伎座『義経千本桜』鮓屋のお里で名題昇進。

市川段四郎 四代目 澤瀉屋

昭和21年7月20日生まれ。三代目市川段四郎の次男。32年4月歌舞伎座『熊野』の女童で初代市川亀治郎を名のり初舞台。38年5月歌舞伎座『雪月花三重暗闘』の沙那王で四代目市川団子を襲名。44年5月歌舞伎座『根元草摺引』の五郎ほかで四代目市川段四郎を襲名。

坂東竹三郎 五代目 音羽屋

昭和7年8月4日生まれ。24年5月尾上菊次郎の弟子となり、大阪・中座『盛綱陣屋』の腰元で尾上笹太郎を名のり初舞台。34年三代目坂東薪車と改名し名題昇進。42年3月菊次郎の名前養子となり、朝日座『吉野川』の久我之助ほかで五代目坂東竹三郎を襲名。53年上方舞の東山村流の二世家元となり山村太鶴を名のる。

大谷桂三 初代 十字屋

昭和25年6月11日生まれ。新派の名わき役だった春本泰男の三男。31年1月新橋演舞場『雨乞妻』の伜与太郎で初舞台。二代目尾上松緑の部屋子となり、34年3月尾上松也を名のる。39年6月十四代目守田勘弥の芸養子となり、歌舞伎座『心中刃は氷の朔日』の秀吉ほかで四代目坂東志うかを襲名。48年10月御園座『女暫』の紅梅姫で大谷桂三と改名。一時期、舞台を離れていたが、平成6年11月、十五年ぶりに復帰。

中村亀鶴 二代目 八幡屋

昭和47年6月18日生まれ。初代中村亀鶴の長男。父方の祖父は四代目中村富十郎、祖母は初代中村鴈治郎の娘の中村芳子。51年12月南座『時雨の炬燵』の伜勘太郎で本名で初舞台。平成2年国立劇場第十期歌舞伎俳優研修修了。3年1月伯父の中村富十郎門下となり中村芳彦を名のる。5年4月富十郎の部屋子となる。13年11月歌舞伎座にて『戻駕色相肩』の禿で二代目中村亀鶴を襲名。

坂東巳之助 二代目 大和屋

平成元年9月16日生まれ。坂東三津五郎の長男。3年9月歌舞伎座〈八代目坂東三津五郎十七回忌追善狂言〉の『傀儡師』の唐子で本名で初お目見得。7年11月歌舞伎座『蘭平物狂』の繁蔵と『寿靱猿』の子猿で二代目坂東巳之助を襲名し初舞台。

 



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