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ローザンヌ歌劇場「カルメン」

ローザンヌ歌劇場「カルメン」

2008年10月、ビゼーの「カルメン」がやってくる!

それも、見慣れた「古いカルメン」ではない。今年5月下旬のニュープロダクションによる「新しい、活きのいい、カルメン」だ。この「ニュー・カルメン」を携えてやってくるのは、日本初お目見えの「ローザンヌ歌劇場」。フランスと国境を接するスイス・レマン湖のほとりにある香り高い都市ローザンヌの、ヨーロッパでも指折りのしゃれたセンスとエスプリを誇る歌劇場だ。

 

ローザンヌ歌劇場「カルメン」

ビゼーの「カルメン」が生まれて今年で133年。初演当時は「えっ!タバコ工場の女工が主人公?柄の悪い密輸入者も登場?おまけに舞台上で殺人?なんたることだ!」と衝撃を与え、散々な評判だったオペラも、今やオペラの代名詞。世界中で年間を通して最も多く上演されている人気演目だ。全編にわたって起伏と変化に富んだ魅力的な音楽は、まるで極彩色の絵巻。聴く者の心を掴んで放さない。

 


あらすじ

舞台はスペインのセビリア地方。

 

第1幕 タバコ工場前の広場

街の警護をする衛兵のところへ村娘のミカエラが訪ねてくる。彼女は、婚約者である衛兵伍長のドン・ホセに会いに来たのだ。しかし、ホセがいなかったため、出直すことにし、帰って行った。 やがて衛兵の交代時間になり、ホセ登場。交代の引き継ぎを受ける。 そして昼休みの合図の鐘が鳴り、工場の女工たちが休憩のため広場へ出てきた。

 

♪「鐘が鳴った。」(女工たちの合唱)

 

街の若い男たちも女工たちの周りに集まってくる。彼らの目当てはカルメン。そしてカルメン登場。彼女を口説こうと言い寄るが、カルメンは相手にしない。

 

♪「<ハバネラ>恋は野の鳥」(カルメン)

 

男たちを魅了するも、そんな彼女に見向きもせず真面目に警備に当たっているホセに対し、彼の気を引こうと、カルメンは胸に飾っていた花をホセに投げて工場へ戻っていった。  ホセがその花を拾ったところにミカエラ登場。故郷にいる彼の母親から託された手紙を渡す。

 

♪「話しておくれ、おふくろのこと。」(ホセ、ミカエラ)

 

そしてホセは母の様子をミカエラから知らされるのだった。 ミカエラが帰った後、工場が騒がしくなった。

 

♪「何事が起ったのだ、あそこで。」(衛兵隊長スニガ、女工たち)

 

工場内で女工同士のけんかが発生。相手に傷を負わせたカルメンは、スニガの命令を受けたホセに逮捕される。

 

♪「隊長どの、これは最初は口げんか。」(カルメン、スニガ、ホセ)

 

と弁明するも聞き入れられず、監獄行きを命じられる。スニガがその命令書を書いている間、カルメンは逃がしてくれるようホセに頼む。そして、

 

♪「<セギディーリャ>セビリアの砦の近くに」(カルメン、ホセ)

 

を歌って彼を誘惑。命令書を書き終わったスニガが

 

♪「これが命令書だ、行け。」(スニガ、カルメン)

 

と、ホセに護送を命じて出発させるも、彼女の誘惑に負けたホセは、縛っていた縄を緩めたため、連行する途中で彼女に突き飛ばされ、逃がしてしまう。

 

 

第2幕 酒場

カルメンが仲間と踊りながら歌っている。

 

♪「<ジプシーの歌>」(カルメン)

 

そこでカルメンは自分を逃がしてしまった罪で牢に閉じこめられていたホセが釈放されたことを知らされる。その時、「万歳!万歳闘牛士!」の合唱に乗って、闘牛士エスカミーリョ登場。皆の喝采を受けたエスカミーリョは、

 

♪「<闘牛士の歌>皆さんに乾杯をお返しします。」(エスカミーリョ)

 

で答えた後、カルメンに目を向け、

 

♪「美しいの、ちょいと」(エスカミーリョ、カルメン)

 

と言い寄るが、カルメンは相手にしない。しかし「待っているよ。」と言い残し、エスカミーリョは颯爽と去っていく。 そこへ密輸業者ダンカイロが現れ、儲け話を持ち込んできた。

 

♪「うまい話があるぞ。」(ダンカイロ、カルメンなど五重唱)

 

ところがカルメンだけは「今夜は男を待っているから。」と断る。すると「アルカラの竜騎兵」の歌が聞こえてきた。ホセが戻ってきたのだ。

 

♪「止まれ!だれか?」(ホセ)
♪「やっぱり、あんただったわ!」(カルメン、ホセ)

 

と、カスタネットを鳴らし踊りながら迎えるカルメン。しかし、帰営のラッパが鳴り響く。軍へ戻ろうとするホセに対し、カルメンは怒り出し、軍か自分かを迫る。それに対しホセは、以前彼女から投げられ胸にしまっていた萎れた花を取り出して、

 

♪「<花の歌>お前が投げたこの花は」(ホセ、カルメン)

 

と切々とカルメンへの思いを歌う。それでも譲ろうとしないカルメン。するとそこへスニガが現れ、ホセと喧嘩になる。ダンカイロたちが止めに入り、スニガを縛り上げ、

 

♪「おい、カルメン!おい、おい!」(ホセ、スニガ、カルメン、ダンカイロなど五重唱)

 

結局ホセは成り行き上仕方なく密輸団に加わざるをえなくなってしまった。

 

 

第3幕 険しい山中

♪「聞きな、聞きな、仲間よ、聞きな!」(ダンカイロ、ホセ、カルメンほか合唱)

 

カルメンとホセは喧嘩をしており、彼女の心は彼から離れていっている。「ここでいっとき休もうぜ。」と、密輸団一行は休憩に入る。カルメンは仲間とカルタ占いをはじめるが、何度やっても不吉な結果が出てしまうのであった。

 

♪「<カルタの歌>まぜよう!まぜよう!」(カルメンなど三重唱)

 

さて、仕事に取りかかる一行。

 

♪「税関吏はあたしたちが引き受けたわ!」(カルメンなど三重唱)

 

などと、ホセを見張りに残して出かける。 そこへ、ホセを連れ戻すため密輸団を追ってミカエラが山を登ってきた。「これが密輸団の隠れ家ね。」彼の居場所を見つけ、「彼を取り戻す勇気を与えたまえ。」と神に祈り、歌うのだった。

 

♪「何も怖れるものはない。」(ミカエラ)

 

すると今度はエスカミーリョが現れた。彼はカルメンに会いにやってきたのだが、出会ったホセに、

 

♪「おれはエスカミーリョ、グラナダの闘牛士だ!」(エスカミーリョ、ホセ)

 

と、あいさつしたところ、互いに恋敵だと知り、二人は決闘になる。あわやエスカミーリョを倒す寸前というところでカルメンたちが戻って来て止めに入る。

 

♪「やめて、やめて、ホセ!~もうちょっと低かったらおだぶつだったな。~私はあなたを探しに来ましたの!」(カルメン、エスカミーリョ、ホセ、ミカエラなど)

 

エスカミーリョは皆を闘牛に招待して帰る。ホセの母が危篤であることを知らせるミカエラ。話を聞かされたホセは、カルメンに未練を残しつつもミカエラと共に山を下りるのであった。

 

 

第4幕 闘牛場前の広場

闘牛が開催される日。群集が沸き立つなかエスカミーリョがカルメンとともに現れる。ホセが来ているので注意するよう仲間から告げられるが、カルメンは「話をつける。」と言って、ホセに会うことにする。皆が入場し、ホセと二人きりになったカルメンは、彼に愛想を尽かす。

 

♪「あんたね!…俺だ!」(カルメン、ホセ)
♪「どこへ行く?…ほっといておくれ!」(カルメン、ホセ)

 

ホセは何でもすると言って哀願するが、カルメンは取り合わず、聞こえて来る闘牛の歓声の方とエスカミーリョの元へ行こうとする。 嫉妬に狂ったホセは……

 

 

ローザンヌ歌劇場

ローザンヌ歌劇場

フランスと国境を接するスイス最西武に広がる美しいレマン湖。その湖の北部に位置するのが、文化都市・芸術都市・学術都市として知られるローザンヌだ。 国際オリンピック委員会(IOC)本部があり、若手バレリーナ・舞踊手の登竜門として知られるローザンヌ国際バレエコンクールが開かれることでも有名である。 市民の熱望によって1871年5月にローザンヌ歌劇場の全身となる「ジョルジェット劇場」が開場、急速にオペラ芸術が広まった。また、1918年にはストラヴィンスキーの舞台作品「兵士の物語」が初演されたことで、この劇場の存在が広く知られることとなった。
31年の全面改修を経て、翌32年に再開場。オペラ、オペレッタ、コミックオペラの3つの部門を持つことになった。56年からはこの歌劇場を中心にして「ローザンヌ国際音楽祭」が始まり、一気に世界的な名声を獲得するようになった。83年にはパリ・オペラ座の名メゾ・ソプラノ歌手ルネ・オーファンが芸術監督に就任、意欲的な活動に拍車がかかる。95年からは彼女の後を継いで、ドミニク・メイエル(2010年からウィーン国立歌劇場総監督に就任予定)、エリック・ヴィジエがこの歌劇場の名声を高めている。

 

 

ユリア・ゲルセワ (Julia Gertseva)

ユリア・ゲルセワ (Julia Gertseva) −メゾ・ソプラノ / カルメン−

レニングラード(現サンクトペテルブルク)に生まれ、サンクトペテルブルク音楽院(旧レニングラード音楽院)で声楽を学んだゲルセワは卒業とともに当地のムソルグスキー記念サンクトペテルブルク国立歌劇場の専属として活躍していたが、現在はフリーのメゾ・ソプラノとして世界中で歌っている。  フリーになってからの活躍は目覚ましく、2002/03年シーズンにロストロポーヴィチ指揮のショスタコーヴィチ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』でイタリアデビューしたのを皮切りに、ヤナーチェク『カーチャ・カバノヴァ』、チャイコ フスキー『ジャンヌ・ダルク(オルレアンの少女)』と次々に注目作に出演、同時にベルリンでもデビューした。翌シーズンにはパリデビューを果たし、ミラノ・スカラ座ではプラッソン指揮の『カルメン』に登場、現代のカルメン役の一人と目されるようになった。
ヴェルディ、マスネ、ポンキエルリ、プッチーニ、チャイコフスキー、ムソルグスキー、バルトークとイタリアオペラからロシア・東欧作品まで幅広いレパートリーを持つが、やはりその声域と容姿から『カルメン』へのオファーが多い。今までにも、ハンブルク歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、ローマ・サンタ・チェチーリア歌劇場(プレートル指揮)、トリノ歌劇場、バレンシア新劇場(マゼール指揮)と名だたる歌劇場で大指揮者と共演している。
最近では、ズビン・メータが彼女の才能を高く評価して数多く共演。昨年(2007年)12月にはフィレンツェ市立歌劇場でヴェルディの『運命の力』(ジプシー娘プレチオシルラ役)、今年(2008年)1月にはイスラエルで同じくヴェルディの『ドン・カルロ』(エボーリ姫役)、そして4月と5月にはフィレンツェ市立歌劇場で『カルメン』(カルメン役)と立て続けに共演している。

 

-指揮-シリル・ディーデリッヒ (Cyril Diederich) -ドン・ホセ- ジュリアン・ギャヴィン(Julian Gavin)・ルーベンス・ペリッツァーリ(RubensPelizzari) -エスカミーリョ- ジャン-フランソワ・ラポワント(Jean-Francois-Lapointe)・ミコワイ・ザラシンスキ(Mikolaj Zalasinski)
-ミカエラ- ノエミ・ナーデルマン(Noemi Nadelmann)・ブリギッテ・フール(Brigitte Hool)

 

指揮:シリル・ディーデリッヒ
演出:アルノー・ベルナール
振付:ジャンニ・サントゥッチ
舞台:アレッサンドロ・カメラ
衣裳:カルラ・リコッティ
照明:パトリック・メーウス

 

[キャスト]

カルメン:ユリア・ゲルセワ
ドン・ホセ:ジュリアン・ギャヴィン / ルーベンス・ペリッツァーリ
エスカミーリョ:ジャン-フランソワ・ラポワント / ミコワイ・ザラシンスキ
ミカエラ:ノエミ・ナーデルマン / ブリギッテ・フール
フラスキータ:ソフィ・グラーフ
メルセデス:カリーヌ・セシェ
スニガ:ブノワ・カプト
モラーレス:サシャ・ミション
ダンカイロ:マルク・マズイル
レメンダード:アンベルト・エルブ-ピノ

 

ローザンヌ歌劇場管弦楽団
ローザンヌ歌劇場合唱団
ルードラ・ベジャール・バレエ学校

 

※ キャストの一部が変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
  正式なキャストの発表は公演当日となります。


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