バ ン ド 維 新

A R C H I V E

過去の開催記録

2008.2.16 Sat - 2008.2.17 Sun

バンド維新2008

写真

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バンド維新2008
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INTRODUCTION作品紹介

星への誘い
-Invitation to
the stars-

[ 演奏 ] 浜松市立与進中学校

[ 作品解説 ]

もともと「星界の紋章」というアニメシリーズのテーマとして作曲したもので、広大な宇宙空間を航行していく宇宙船軍団というイメージです。
同じメロディのテーマが各楽器によって、繰り返されますがバックの音に埋もれてしまわないようにしっかり演奏して下さい。
曲の後半に行くにしたがって、アッチェルランドとクレッシェンドで盛上げていって、エンデイングのホルンは思い切ってフォルテッシモで音を割るような雄叫びのような感じで演奏して下さい。
出来るだけ長く伸ばして最後はピアニッシモでおわります。

並びゆく友

[ 演奏 ] 浜松市立江南中学校

[ 作品解説 ]

皆さん!本当の友情とはお互いの良いところを認め合うところから始まるのではないでしょうか?そして「親友」というのは、自分ととても似たところと全然似ても似つかないところの両方をもった人のようです。僕にしか出来ない事、親友にしか出来ない事、そしてふたりで盛り上がることが出来る事(つまりいつの間にか助け合っている)、この組み合わせがいつか大きな信頼関係を生むようです。実は、アンサンブルの基本はこのような信頼関係の集合体であって欲しいと常日頃から思ってきました。
この作品「並びゆく友」発想の根底には以上のような人間関係への憧れが流れているわけです。<並び行く>わけですから交叉することなく、木管・金管・打楽器の3つのセクションは、お互いに並行してそれぞれ自分の言葉を自由に、しかし大切に喋ってゆくのですが、気が付くと同じ流れに乗っている――そんな音楽です。音楽の語法としてはかなり分かり易い素直な響きでまとめています。
また、吹奏楽の存在価値を文字通り<ウインド・アンサンブル>から考えるために可能な限り少人数の編成を選びました。ひとりひとりの響きが全体の音響にダイレクトに影響をあたえるという難しさがあると同時に、上手くいった時の快感はそれぞれの演奏者ひとりひとりの身体の芯まで伝わって来る、という経験を積んで欲しいなあ、と思います。この作品は小編成でしか味わえない透明感への関心から生まれました。これは大編成になっても忘れたくない意識のひとつです。

Poem Rhythmic

[ 演奏 ] 浜松市立高等学校

[ 作品解説 ]

この「Poem Rhythmic-リズムの詩」はタイトルからも連想されるように、勇ましい機械的なリズムを目指したものではありません。むしろ、リズムにもポエジーがあることを念頭に置いて作曲されたものです。
曲は短い序奏とやや速めの2つの部分から成っています。曲に現れるさまざまなリズムの根本にあるのは、身体的な感覚であり、従って演奏はつねに優雅な舞踊をイメージさせるようなリズム感に支えられていることが望ましいと言えるでしょう。打楽器を含む管楽オーケストラの音色の特徴を、リズムの面にいかに反映させるかが、オーケストレーションでもっとも留意した点ですが、演奏にたずさわる皆さんがどのような響きを引き出して下さるか、とても楽しみにしています。

サイバートリップ
-CYBER TRIP-

[ 演奏 ] 静岡県立浜松江之島高等学校

[ 作品解説 ]

芸大大学院時代、全日本吹奏楽連盟の課題曲公募に「序奏とアレグロ」で応募し採用されたのが、吹奏楽との関わりの最初でした。師の浦田健次郎先生が、当時からオーケストラ作品と共に質の高い芸術吹奏楽曲を発表しておられた影響で、私も学生時代から吹奏楽に興味を持ったのですが、当時の吹奏楽界は完全な男の世界で20代半ばだった私には居場所がなく、その後興味が声楽系に移ったこともあっていつの間にか吹奏楽を書かなくなってしまいました。
数年前、全日本吹奏楽連盟から課題曲委嘱をいただいたのを機に吹奏楽の作曲を再開。'06年課題曲「パルセイション」、秋田の大曲吹奏楽団の委嘱で書いた「ゴシック」に続いて、「サイバートリップ」が復帰第三弾となります。
吹奏楽のサウンドは非常に明るく華やかなため、今までの私の作品は音楽自体を意図的に暗めな重厚な響きで統一する傾向があったのですが、この作品はタイトルからもおわかりいただけるように、今までで一番エンタテインメント色が強く、響きの明るい作品となっています。もともと大編成好きの私が小編成作品を書くにあたって取ったスタンスは、室内楽的・対位法的な書き方をするのでなく、小編成でありながら大編成の迫力を出せる書き方をすることでした。ピッチと音裏バランスがうまく決まりさえすればトゥッティで鳴ったとき、かなり厚みのある充実した響きとなるはずです。

序曲
 機動戦士ガンダム
逆襲のシャア

[ 演奏 ] 静岡県立二俣高等学校

[ 作品解説 ]

私が今回、提供させていただいたのは、「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア」です。20年以上にわたって幅広い層に人気のアニメーション作品「機動戦士ガンダム」シリーズの映画版の音楽を担当させていただいたときの経験をもとにして、作りました。「ガンダム」の世界観は、未来世界における"戦争と平和"だといえると思いますが、皆様にもそんなイメージを広げながら聴いていただけましたら幸いです。
少なくとも私にとっては、正直に申し上げて、吹奏楽の編曲はとても難しいものです。室内楽やオーケストラを編曲するのと、まったく違うものだといってもいいかもしれません。ブラスと打楽器だけで一つの簡潔した世界を構築するのは、とても難しく、スリリングな仕事です。またそれだけに、とてもやりがいを感じました。

秘儀I 
-管楽合奏のための-
 HIGI I 
-for wind
 ensemble-

[ 演奏 ] 浜松海の星高等学校

[ 作品解説 ]

この曲のタイトルにいう「秘儀」は宗教的な架空の儀式を意味している。それは秘教的な性格を持つもので、シャーマニズムに属する類のものである。「秘儀」はシャーマン(巫女)の舞踊を中心にして展開される。その舞踊は旋回舞踊であり、舞踊者は旋回しつつ忘我(トランス状態)に達し、招魂・招霊・降神の媒体となるに至る。
この曲はそうしたシャーマンの秘密の舞踊儀式のための舞曲である。後半の8分の9拍子や6拍子は、舞踊が旋回性のものであることと関係している。曲中には速いテンポの点描音群ホケトゥスやヘテロフォニーといった語法の展開がみられ、東アジアや東南アジアの伝統的な宗教音楽(儀式)の一部からの影響もみられる。
曲は以下の6つの部分により構成されている。
1)冒頭から第31小節までは儀式の開始を告げる前奏部。
2)第32小節からは序の舞曲。木管楽器群に16分音符のスタッカートの波動。アクセント位置のずれによる点描。金管楽器群はケチャに基づくホケトゥスを奏する。
3)第64小節からは遅い舞曲。木管楽器群がエロティックな旋律のヘテロフォニックな絡みを官能的に奏する。
4)第97小節からは8分の9拍子による第1の旋回舞曲。
5)第113小節からは8分の6拍子による第2の旋回舞曲。
6)第184小節からは終結部。旋回舞踊の興奮恍惚のきわみに至り、舞踊者(シャーマン)はトランス状態で失神する。

アンゼラスの鐘

[ 演奏 ] 浜松市立高台中学校

[ 作品解説 ]

原曲は、虫プロダクション製作のアニメーション映画「NAGASAKI 1945 アンゼラスの鐘」のテーマの音楽です。この映画は、長崎の原爆投下の後、その後遺症によって苦しみ亡くなっていく人たちを見守る医師の苦悩、葛藤、そして未来に託す希望を描いた作品です。
アンゼラスの鐘は、爆心地に近い浦上天主堂の鐘で、被爆した人々が、瓦礫に埋もれていた鐘を掘り出し再生のシンボルにしました。この鐘に対する思いが人々を結束させ、復興の支えになったのです。
音楽はこのお話に寄り添い、静寂のなかに人々の悲しみや鎮魂の気持ちを込め、しかし強い意志も忘れることなく、逆らえない時の流れの中をゆっくりと進んで行きます。
元の曲はStringsとハープの編成で3分程の楽曲でしたが、今回このバンド編成に編曲しなおし、構成も変更しました。二つの主題となるメロディからなり、それに絡まるいろいろなカウンターメロディが主題を彩り包み込む形になっています。曲のかたちはあくまでシンプルで、旋律が主体の曲です。そして、ゆっくりと静かに演奏される個々の楽器の音色・重なり合う音色を十分に味わっていただきたいと思います。

Cubic Dance

[ 演奏 ] 浜松市立南部中学校

[ 作品解説 ]

正多面体の内、正四面体をcubeと言うが、この曲では同じリズムモチーフをひとつのcubeに例えていて、毎回出る毎に、異なる大きさのcubeが異なる出現の仕方をする<所謂変奏>を施しつつ、ひとつの方向に向かって踊って進む、あるいは転回して光のベクトルが変化する、というシーンを想定して作曲された。
今回の編成はブラスバンドというより、木管・金管・打楽器の18人室内楽アンサンブルであり、所謂従来的なカテゴリーに属する楽曲を想定できなかった。しかしながら、サックスを含む木管とユーフォニウムを含む金管が対峙した役割を演じる事になり、打楽器はそのあいだを繋ぐだろうと最初から脳裡に漠然と浮かんでいた。構成的には、イントロダクション、テーマAの提示、テーマA確保と展開、緩やかなテーマB提示、テーマAの別の展開、テーマBの展開敷衍、そしてテーマAを使用したコーダ、といった極めて解りやすい。
テーマAは、ひとつの和音の塊によるモチーフであり、金管と木管と打楽器のコンビネーションによるフレーズであり、呼吸の合ったアンサンブル技術が要求される。このモチーフは、ジャズなどで使い古されたと言ってよいものだが、今回のアンサンブル編成では意外に鮮度を保つ。何回もこのモチーフが現れるが、二度と同じハーモニゼーションはしていない。当然トップノートがメロディーラインであり、ボトムノートがベースラインであるので、ヴォイシングの音量バランスに注意して演奏されるべきである。テーマBは叙情的な独白であい、トランペット中心の歌が聴かれる。微妙に光のベクトルが変化しながら動き回転する正多面体のようなイメージが浮き上がれば幸いであろう。