世界音楽の祭典IN浜松

世界音楽の祭典IN浜松

世界音楽の祭典IN浜松

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  • 市長挨拶
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  • 音楽監督挨拶

世界音楽を体感する四日間

平成26年12月に浜松市が加盟したユネスコ創造都市ネットワーク。音楽分野での加盟はアジア初となった。昨年末には新たな都市も加わり、世界の19に及ぶ都市が一つのネットワークに結ばれ、音楽の持つ無限の可能性をともに探求している。
今回、ユネスコ創造都市ネットワーク音楽分野加盟都市のうち13都市から、地域を代表するトップアーティストが「音楽の都・浜松」に集結、“多様な楽器と音楽文化がジャンルを超えて融合する新しいカタチの音楽祭”-「世界音楽の祭典in浜松2016」を開催する。
アフリカ、ヨーロッパ、中南米からアジアまで、海を越えて世界から集まるミュージシャン達の感動的なパフォーマンスが、音楽のまちづくりを進めてきた浜松に新しい息吹を吹き込む-世界音楽を体感する四日間が、今、始まる。

市長挨拶

世界音楽の祭典in浜松2016の開催にあたり、多くの方々の温かいご支援とご協力に心から御礼申し上げます。
浜松市は2014年12月にユネスコ創造都市ネットワークの音楽分野にアジアで初めて加盟いたしました。これを記念して、昨年12月には世界創造都市フォーラムin浜松2015を開催し、音楽の多様性と創造性、新たな可能性について世界の音楽都市と議論を深めました。そして、参加者の皆様とともに「音楽の多様性と創造性を探求する浜松アジェンダ」を採択いたしました。アジェンダで宣言した「わたしたちは、世界の多様な音楽文化を尊重し、異なる文化への深い理解のもと、相互に協力して新しい音楽文化を創造してまいります。」という言葉を具現化するものとして、世界音楽の祭典in浜松2016を開催いたします。
この祭典は、「世界と響き合う新しい音楽文化の創造」をテーマに、世界の多様な楽器と音楽文化がジャンルを超えて融合しクロスオーバーする新しい形の音楽祭です。音楽監督には、特定の音楽ジャンルに留まることなく常に新しい表現を追求し、映像やデザインなど他分野のトップアーティストとのコラボレーションを積極的に実践されている作曲家・三宅純氏をお迎えしました。三宅音楽監督の生み出す音楽のキーワードは“異種交配”、つまり多様な音楽のミックス、ハイブリッド化です。この祭典は、楽器産業の集積を基盤とした様々な音楽文化事業や、市民の皆様の活発な音楽活動といった、世界から高い評価を受けている本市の資源と、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟都市をはじめとする世界の多様な音楽文化との“異種交配”により、新たな価値を生み出すものと信じております。
伝統と革新を組み合わせたユニークなミュージシャンが世界の音楽都市から集う「ワールドミュージックコンサート」、昨年開館20周年を迎えた浜松市楽器博物館にゆかりのある楽器を紹介する「民族音楽コンサート」、本市で活動する合唱団や吹奏楽団と海外の音楽団体などが音楽を通して交流する「交流コンサート」など、多彩なプログラムを通じて、音楽の素晴らしさを感じていただけたら幸いです。
最後に、祭典の開催に際し、ご尽力を賜りました多くの皆様に深く感謝を申し上げるとともに、「創造都市・浜松」の推進に一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、あいさつとさせていただきます。

浜松市長 鈴木康友

実行委員会 委員長挨拶

世界音楽の祭典in浜松2016にご来場いただき、誠にありがとうございます。

浜松市が2014年にユネスコ創造都市ネットワーク音楽分野に加盟したことを機に、昨年は世界創造都市フォーラムin浜松2015・浜松楽器メイカーズフェスティバルを開催し、今年は世界音楽の祭典を開催することとなりました。ユネスコ創造都市ネットワーク音楽分野に加盟されている19の都市より12か国13都市から演奏団体を招き「ワールドミュージックコンサート」を中心に行われる各コンサートは、世界の音楽に触れることができる貴重な機会となります。また、地元浜松や国内で活躍する演奏家を招き、市内各所にて民族音楽の演奏や世界の様々な音楽が演奏されます。海外からの招聘団体は、浜松市内の演奏団体と市民交流コンサートを行い、文化の相互理解、音楽による国際交流を行います。この祭典は、音楽を通じて世界とつながり、音楽文化の新しい価値観を見つけることができるきっかけとして、「創造都市・浜松」を体現させていく事業となります。

昨年度は第9回浜松国際ピアノコールが成功裏に終わり、本年度もやらまいかミュージックフェスティバルinはままつ、そしてハママツ・ジャズ・ウィークと大きな音楽事業が開催されます。ユネスコ創造都市として認められた大きな要因として、このような国際的な事業から市民の手による事業が継続的に開催していることがあげられます。来年度は創造都市事業としてサウンドデザインフェスティバルの開催を予定しております。今後もこのような音楽事業を通して、音楽を愛する皆様と共に音楽の多様性・可能性を共有し、音楽文化の力を持って都市を活性化することにより、浜松市がますます発展していく事を願っております。

最後に、この祭典の開催に向けご尽力を賜りました関係の皆様に深くお礼を申し上げます。今後も引き続き、未来へ向けた持続可能な創造的活動へのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、あいさつとさせていただきます。

ユネスコ音楽都市はままつ推進事業実行委員会 (公益財団法人浜松市文化振興財団 代表理事) 実行委員長

伊藤修二

音楽監督挨拶

ワールドミュージックという言葉を聞くようになって久しい。
その裾野の広い概念が定着して行く過程で、
何度となく「日本のワールドミュージックはどんなものか?」と質問された。
そしてその度に答えに詰まった。

なぜだろう?
たしかに日本伝統音楽と西洋のビートとの融合はいくつかの素晴らしい成果を生んだ。同時にどこまで行っても交わらない平行線を思わせるものもあった。複雑な和声進行を必要としない旋律、間と緩急を尊ぶタイム感覚、一音入魂の精神、そんな日本の伝統を単に西欧音楽のフォーマットにオーバーラップさせるだけでは、画期的な化学反応が起きにくいという理由もあるのだと思う。そういう意味で菊地雅章、武満徹、山本邦山などが残した足跡は、むしろ本来の意味の日本のワールドミュージックに近いのかもしれない。

仮説を立ててみる。
明治維新以降の音楽教育が伝統を分断したことに、答えに詰まってしまった原因があるのではないだろうか?一度伝統音楽と分断された我々にとって、五音音階より西欧音階の方がはるかに体に馴染んでいる。ルーツだと思える音楽の存在が希薄になった結果、自分の音楽の源流が見いだしにくくなってしまっているのだ。そこに日本のワールドミュージックはどんなものか明言できない理由があるのではないだろうか。本来伝統音楽とは風土と生活に密着したところから生まれ、 時間をかけて淘汰された、ゆえに必然性のあるものだと理解している。

視点を変えてみる。
民族、人種、宗教、宗派、地理、気候などに深く影響された民族音楽の分布図はいつも興味深い。人種のるつぼとなった大都市の音楽の多様性はさらに興味深い。そういう意味で日本という国の音楽の在り方も実に興味深い。

我々日本人が教室で習った音楽にも、巷にあふれている和製ポップスにも、必然性とは別の次元で、さまざまな国の影響が混在している。さらには祭り囃子や太鼓が何の不条理も無くそこにオーバーラップして来る。それらが渾然一体となって我々の源流が形成されている。そもそも渡来文化をアレンジして生活に取り入れ伝統と同化させてしまうことこそ、長年培った我々の特技、特質ではないか。こじつけて考えれば現代日本人は既にワールドミュージックのただ中で生活して来たのである。渡来文化を柔軟に受け入れる心がその前提にあることは言うまでも無い。

そう考えてみると、浜松という極めて音楽的な都市で行われるワールドミュージックの祭典は俄然必然性を帯びて来る。何しろ浜松にはYAMAHA,KAWAI,ROLAND,SUZUKIをはじめとする、グローバルな楽器(西洋楽器)メーカーが林立し、独自の音楽(西洋音楽)教育システムが成果を上げ、世界中の音楽家にイマジネーションを与えて続けているのだ。

まるでワールドミュージックの専門家のような書きようだけれど、実は自分の音楽がその範疇に入ると思った事は無い。音楽様式が飽和した現代にあって、その領域侵犯とハイブリッド化を目指して、孤独な異種交配の道を歩んできた。そして放たれた一瞬の音が永遠に刻印されることを目指して来た。それが嵩じて日本からはみ出してしまったような気がしていたけれど、こうして書いて来ると、自分のやって来た事も極めて日本人的な行為に思えてくる。

そんな人間を、日本というワールドミュージック的土壌を持つ国の、浜松という音楽的な都市で行われる祭典に音楽監督として招いて頂いたことを、大変誇りに思う。世界各地で極彩色のクリエイター達と交流して来た経験を少しでも活かせたら嬉しい。この地に集う音楽家が奏でる音は、受け入れる心を得て、きっと新たな響きを持つだろう。

随分回り道をしてしまいましたが、そんな想いを記してご挨拶に変えさせて頂けたら幸いです。

三宅純

三宅純

音楽監督三宅 純

作曲家として ピナ・バウシュ、ヴィム・ヴェンダース、フィリップ・ドゥクフレ、ロバート・ウィルソン、ジャン=ポール・グード、大友克洋らの作品に楽曲提供、異種交配を多用した個性的なサウンドが国際的賞賛を受ける。アルバム”Stolen from strangers”“Lost Memory Theatre act-1/act-2”は仏独の音楽誌で年間ベストアルバム賞・音楽批評家大賞等を受賞。ヴィム・ヴェンダース監督作品「pina」で11年ヨーロッパ映画賞でベスト・ドキュメンタリー賞受賞、12年米・英のアカデミー賞にノミネート。

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