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Series No.93 上野 通明

5月25日に開催される「アクト・ニューアーティスト・シリーズ2014」のトップバッター、チェリストの上野通明さんに海外での生活、チェロの魅力について語っていただきました。

豊かな音と幅広い表現力を持ち、人の心に深く印象に残るような演奏家になりたいです。

―幼少期に海外で過ごされた頃のことは覚えていますか?日本とは違いますか?
バルセロナのことはよく覚えています。バルセロナは地中海に面しているので、夏に毎週家族で海に行ったり、自宅にあったプールで泳いだり、友達の家に泊まりに行ったり、毎日が本当に楽しかった記憶があります。
日本と違うところは、日本は小さい時から皆頑張っているという印象がありますが、スペインでは子供はとにかくよく遊ばせなければいけないという風潮があり、チェロの先生からも「旅行に行くときは楽器はもちろん(家に)置いて、思い切り遊んできなさい。」と言われたり、僕たち小さい子供達にとっては本当にのびのびと過ごせた楽しい毎日でした。

―チェロを始めたきっかけは?
姉が二人いて、一人はピアノを、もう一人はヴァイオリンをやっており、小さい頃は姉のヴァイオリンで遊んでいました。そして4歳の時に、ヨーヨー・マの「インスパイアド・バイ・バッハ」というビデオを見て、どうしてもチェロがやりたくなってしまい、親にチェロを買ってくれるよう頼みました。初めのうちは親も気まぐれじゃないかと思っていたそうであまり取り合ってもらえなかったのですが、親に何度か手紙を書いてお願いをしていたら、一年後の5歳のクリスマスの時にやっとチェロを買ってもらうことが出来ました。その時の嬉しさは今でも覚えています。

―2009年に「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクール」で第1位を獲得された時はどんな気持ちでしたか?
当時はまだ13歳で、国際コンクールに出場するのも初めてでしたし、名前を呼ばれた時は信じられませんでした。何が起こったのかもあまりわからない感じでしたが、そのあとで、ラジオ局に連れて行かれて、インタビューを受けたりしたことにより、だんだん実感が湧いてきて嬉しさが込み上げてきました。優勝後は、韓国のテレビにも出演させてもらい、この優勝を機に演奏のチャンスが増えたことが何よりも嬉しかったです。また、優勝したことで少し自信はついたかもしれませんが、自分にとってコンクールは結果を得ることよりも、より多くの人に聴いて頂けるチャンスが増える手段だと思っているので、結果の良し悪しに過信したり自信を失うことなく、これからもいつも自分をリセットし、初めて臨む気持ちでチャレンジして行きたいと思っています。

―上野さんが考えるチェロの魅力、また自分の演奏の魅力は何だとお考えですか?
チェロの魅力は、その音域の広さと音色のバラエティが豊富なこと、最も人の声に近い音が出せることでしょうか。雄大さや迫力のあるダイナミックな表現ができるのも魅力です。
自分の演奏の魅力を自分で表現するのは難しいですが、例えば、演奏会が終わって、お客様が涙を流してくれたりすると、その人の心に触れることができたのかなとちょっと嬉しかったりします。

―演奏で重要視していることは何ですか?
正確な技術と豊かで魅力のある音、そして自分が表現したいことをはっきり表現することです。また、表現力を付けるためには様々なことに興味をもつことが大事だと思います。音楽だけではなく、他の分野においても視野を広げることと、適度に遊ぶ(気持ちをリフレッシュする)時間を作ることも良いことだと考えています。

―今後、どんな演奏家を目指していますか?
理想は、豊かな音と幅広い表現力を持ち、人の心に深く印象に残るような演奏家になりたいです。そしてお客様にまた聴きたいと思ってもらえるよう頑張りたいです。

―本演奏会について一言お願いします。
今回は前半、後半と分けてたっぷり演奏させていただけますし、また、浜松で演奏するのは初めてなので、お客様に様々な面から楽しんでもらえるよう、バラエティに富んだ作品をご用意しております。ぜひお越しください。

プロフィール

パラグアイに生まれる。5歳よりチェロを始め幼少期をスペイン・バルセロナで過ごし、数々のコンクールで優勝または入賞。2009年韓国スウォンで開催された第6回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールにて日本人初の優勝。韓国KBSテレビ「クラシックオデッセイ」、テレビ朝日「題名のない音楽会 未来の大器」に出演。2010年第6回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽器部門第1位、ルーマニア大使館賞、ルーマニアラジオ文化局賞を併せて受賞し、翌年ルーマニア各地にて5回の連続演奏会に出演。日本パスツール協会主催、ルイ・パスツールの夕べで常陸宮殿下ご夫妻の前で演奏する。2011年桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)全額免除特待生として入学。いしかわミュージックアカデミーIMA音楽賞、岩谷時子文化振興財団より「第1回Foundation for Youth」受賞。2012年第10回東京音楽コンクール弦楽器部門第2位。2013年フランス・プラードにて開催されたパブロ・カザルス音楽祭に参加。これまでに大友直人、飯森範親、沼尻竜典、金洪才指揮、東京交響楽団、東京シティフィルハーモニック管弦楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団と共演。馬場省一、イニアキエ・チェパレ各氏、現在毛利伯郎氏に師事。

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