本文へ

バナーエリアへ

フッターへ



ホーム  > ギャラリー  > アフタートーク  > Series No.118 今田 篤

Series No.118 今田 篤

Q.プライベートで仲のいいピアニストはいますか?

音楽やると学校が同じだったり、コンクールなどで会ったりするので、仲のいいピアニストはたくさんいます。今日もコンクールで優勝したジャン・チャクムルと先程舞台裏で話をしました。浜コンで最後に残ったメンバーは、みんなが仲いいです。他にも8月に兼重稔宏くんと一緒にリサイタルをするのですが、僕の高校からの先輩です。高校~大学とずっと一緒で、今ライプツィヒでも一緒です。実は同じマンションに住んでいて、彼は2階、僕は5階に住んでいて、多いときだと週に5回ぐらい会うほど仲の良い先輩でもあり、友人でもあります。

Q.ゾーンに入るときの感覚を教えてください。

なかなかゾーンに入ろうと思って入れないですが、集中したときは、ああしよう、こうしようというのを自分から考えるのではなく、自然に音楽が頭の中で鳴り響いて、身体の状態もそれを遮ることはなく、リラックスしていて、音楽に身を任せているような感覚です。日々の練習の中で、自分のやりたいことをはっきりさせておいて、コンクール本番などで、普段の練習を離れてそういう状態になるというのが、大切だと思います。

Q.一番好きな作曲家は誰ですか。

こういう質問は難しいですね。強いて言えばシューマンが自分の中で共感がもてます。シューマンのもつ2面性は自分に通ずるというか、理解ができて、とても好きですし、とても尊敬している作曲家の一人です。もちろん他にもベートーヴェンも、バッハも、ラフマニノフも、ラヴェルも、ドビュッシーも好きです。なかなか一つには絞れませんね。

Q.高校から東京藝大の付属へ行かれたとのことですが、どんなことをきっかけで、ピアニストになろうと思いましたか。

人生の分岐点になるようなきっかけは、なかったのですが、小さい頃からピアノを習い事としてやっていて、その中でより良い環境でピアノと向き合いたかったからです。レッスンはもちろんですが。静岡にいると音楽をやっている仲間が少なく感じていて。でもコンクールに参加して日本全国に同じ志を持っている人たちがいるということを知って、東京藝大の付属高校に行ったらそういう人たちと勉強できると思いました。そういう環境を含め、今後の自分にとっていい経験になると思い、上京することを決めました。

Q.ではピアノを始めたきっかけはなんですか。

恥ずかしい話なんですが、コンサートで誰かの演奏に感銘を受けてとかではなく、母にやらされてはじめました。もちろんピアノを続けていく中で、影響を受けた方はいます。その中でも、高校生になる前から伊藤恵先生にお世話になっていて、まだ子供の僕を温かく、技術的にも、精神的にも支えてくださって、ピアニストとしてあるべき姿を学びました。先生は自分にとって永遠の憧れでもありますし、自分の中でのピアニスト像は伊藤恵先生そのものです。今でも先生の前で演奏するのはとても緊張します。

Q.海外生活を楽しむコツや、息抜きはありますか。

ドイツのライプツィヒに家はあるのですが、最近は移動が増え、家では休養を取るための時間しかない状態です。ロンドンのときは時間も取れていたので、その頃の話をしますね。ロンドンではコンサートが毎日いろいろなところであって、メジャーなオーケストラの数も多く、なおかつ、海外からもアーティストが来て、クラシックだけではなくミュージカルも本場ですし、さらにバレエがあったりオペラがあったり、ピアノ以外の現地の芸術にたくさん足を運んだので、楽しかったです。あとロンドンは美術館がたくさんあり、しかもタダで入れるので、ふらふらっとフェルメールの絵だけを見に行ったりできて楽しかったですね。海外に行ったら食事も楽しみだと思うのですが、現地のマーケットで現地の野菜や、肉や魚を調達しての自炊も楽しいです。

Q.アンコールの曲について聞かせてください。

武満徹さんの『雨の樹素描Ⅱ』という曲で、オリヴィエ・メシアンの追悼の作品です。日本の作曲家と海外の作曲家の違いとして、日本の作曲家は静的な美しさが、西洋の作曲家は動的な美しさが有ります。そういう意味で武満徹さんの『雨の樹素描Ⅱ』は、後半に演奏したベートーヴェンOp.111の精神の深いところでの音楽の雰囲気を壊さないような曲で、アンコールにピッタリなのではないかなと思い、選ばせていただきました。

Copyright (C) Hamamatsu Cultural Foundation. All Rights Reserved.