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【ピアノコンクール審査委員長】小川 典子


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第10・11・12回の審査委員長である小川典子さんに、中止となったコンクールへの思いとご自身のコロナ禍での生活、11月14日のコンサートなどについて聞きました。

浜松に来ていただかなければ浜コンではない

 この秋に開催予定となっていた第11回浜松国際ピアノコンクールには、452名もの方にご応募をいただいたにも関わらず、中止という辛いお知らせをしなければならなかったことは本当に残念です。このように多くのピアニストが応募してくれたのは、浜コンを評価してくださったという証だと思います。コロナ禍の中では完全オンラインで実施するコンクールなども出てきましたが、やはり浜松に来ていただかなければ浜コンにはならない、という判断となりました。日本への入国には現在も大きな制約があり、やむを得ないことだと感じています。浜コンはやる・やらないの判断を先送りして、直前で決断できるほどの小さな規模のものではありません。今は様々な理由で10人程度しか会場に呼ばないコンクールが多いなか、浜コンは今も100名規模の出場者を受け入れているのですから。今回ご応募くださった皆さんには、次回も扉は開いていますから、ぜひ浜コンにチャレンジしてください、とお伝えしたいですね。
                  

第10回予選通過者発表セレモニー

第10回表彰式

               

日本とイギリスで過ごしたコロナ禍生活

 イギリスでは地獄絵のような一番ひどい時を体験しました。(小川典子さんはイギリス・ロンドン在住。)飛行機は止まり、ロックダウンによって街から人も消え、外から聞こえてくるのは救急車のサイレンだけ、という数週間を過ごしました。帰国時に見た、広大なヒースロー空港が真っ暗で一つしかカウンターが開いていないという不思議な光景は一生忘れられません。私はこのパンデミック中、日本だけで8回もの検疫を経験しました。イギリスは国境を開いたままであり、私は日本人ですので日本への入国が可能、ということで日英を行き来している珍種です。演奏会は減りましたが、コンクールのオンライン審査、生徒へのオンラインレッスン・オンライン演奏会と、インターネットを駆使していろんなことをやりました。あとは、イギリスの家と日本の実家の片づけも(笑)。
 それから、4月にロンドンで右手首を骨折して、数週間ギプス生活をおくりました。もし2・3年前だったら、人生が終わってしまうくらい悲壮感が漂ったと思いますが、コロナ禍中であったためか、ポジティブでいられました。リハビリを続け、今ではきれいに治って演奏会にも復帰しました。もう激しい曲でも弾けますよ!

エラールで綴るサティ

エラール(パリ)1874年製
全長247㎝ 85鍵

 1874年に作られたエラール。このフランス製の楽器は貴婦人のような美しいピアノで音もエレガント。作曲家サティが生きていた当時の、モダンピアノと違って音の残響が長く残る音色も聴きどころですね。サティはとても独創的な作曲家で、例えば「家具の音楽」は「BGM」という概念を世界で初めて考え付いた作品。演奏会でサティは「おしゃべりしたりガタガタしたりして、できるだけ作品を聴かないで」と言っていたそうです。11月の私の演奏会でも、現在のコロナ禍の中ではおしゃべりは難しいですが、わざと他のことをしていただくなど、お客様にご協力いただきたいと考えています。博物館の収蔵品である古楽器を、見るだけでなく聴けるコンサートはとても貴重で、楽器博物館がある浜松ならではの演奏会です。お客様にはパリの19世紀末の雰囲気を気楽に楽しんでもらいたいですね。
              

大ピアニストたちが弾いた当時の姿を重ね合わせて

アクトシティ浜松 大ホールロビーにて

 今回のフェスティバルの出演者は、ほとんどが過去の浜コンや浜松アカデミー参加者です。今や大ピアニストになったみなさんを、参加者として弾いた当時の姿と重ね合わせて聴いていただけたらと思います。浜コン・アカデミー参加者に紛れて、海老彰子先生と私、2人の審査委員長も密かに登場します…(笑)。これも浜松ならではですね。 
                  

〈審査委員長が奏でる名器〉
小川典子 plays サティ on エラール

2021年11月14日(日) 14:00開演 
●アクトシティ浜松 中ホール
●入場料(全席指定)
 S席 3,000円 A席 2,000円 学生 1,000円
 ※未就学児の入場はご遠慮ください。

公演の詳細は、こちらをご覧ください。