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【サクソフォニスト】須川展也


浜松市出身で日本が世界に誇るサクソフォン・プレイヤー須川展也さん。デビュー40周年を祝して、旧知の仲間たちとともに浜松でコンサートを開催します。本公演への意気込み、音楽やサックスに対する想い、浜松での思い出などを伺いました。

2024年にデビュー40周年を迎えられますが、どのような音楽家人生でしたか。

 一言で語るのは難しいですが、たくさんの方に助けてもらったと感じています。まずは、大学を卒業する時に単位取得がうまくいかなかったことを救ってくれた先輩がいました。浜松で育ちましたから、吹奏楽との出会いもあり、ヤマハ浜松店の皆さんにもかわいがってもらいました。プロになってからも、失敗を助けてもらったり、支えてもらったり。自分の頑張りもありますが、その頑張りをちゃんと認めてくれる人達に恵まれたなと感じています。
 浜松の方って祭り大好きですよね?祭り好きな人たちがいる街で育ったことが音楽家人生において面白いことかなって思います。一つの大きなイベントに向かって町中の人たちが熱くなっていって、終わったら弾けて、1回クールダウンしてまた次の年に向かっていく。音楽会も同じで、一つの大きな音楽会に向けて皆で頑張っていき、わぁーって弾けてっていう繰り返しですよね。2歳から浜松に住んでいて、お祭りにかける熱量みたいなものを肌で感じてきましたし、浜松の風土に育てられたって感じていますね。一つのことに向かって皆で作りあげると大きなパワーになることを感じられた、そういったことがそのまま音楽家人生に繋がっているなと感じています。

サックスという楽器の魅力を教えてください。

 美しい歌声やだみ声、怒ったような音、悲しい音、人間の感情そのものを出すことが得意な楽器ですね。美しい音を出す楽器はいっぱいあるけど、美しくない音も出せる、人間そのものを代弁できる、人間賛歌のような楽器かな。わざと美しくない音を出すと、次に綺麗な音を出した時に引き立つんです。サックスは美しい音と美しくない音、ある意味、ちょっとぶち壊しちゃう、ホラー映画のような不気味な音を出せる、それが魅力だと思っています。
 中学1年生の時、最初はフルートで吹奏楽部に入ったんですけど、サックスのかっこよさに憧れて、変えてもらいました。最初はムードサックス、いわゆる怪しいサックスの音に興味を持ったんですが、音楽の授業で「アルルの女」というクラシックの名曲に出会い、クラシックのサックスに目覚めて今に至ります。

これまで多くの方と共演されてきたと思いますが、特に印象深い出会いはありますか?

 あまりにもいろいろあって… スーパースター達との共演もたくさんありますし… 強いてあげるのであれば、浜松国際管楽器アカデミーの時に一緒にサックスの講師をしていた、フランスのサクソフォニスト、ジャン=イヴ・フルモーさんとの出会いですね。今では、30年以上の付き合いです。吉松隆さんに委嘱して「ファジイバード・ソナタ」という曲を作曲していただいて、その曲を披露し始めた頃にジャン=イヴ・フルモーさんがとても感動してくださり、彼がフランスの出版社に掛け合って、楽譜を出版することができました。それがきっかけで、「ファジイバード・ソナタ」は世界のサックス吹きのスタンダードになりました。アカデミーがあったからこそ、彼にその曲を知ってもらうことができ、ヨーロッパの有名な出版社で出版でき、それが世界に広がって、世界のスタンダード曲になっていることは僕にとってとても大きな出会いだったと感じています。

後進の指導にも注力されていますが、プロの音楽家を目指す若者に伝えたいことはありますか。

 若い時にたくさん練習して素晴らしいテクニックを身につけることは必要なことなので頑張って欲しいのですが、音楽は楽しいし、その楽しさを人に伝えることが大事だということを忘れないで欲しいですね。自分を追い詰めて高めた技術を人に伝える喜びがあることを忘れなければ良い演奏家になれるかなと思います。僕も若い頃は、自分が楽しめないと、お客さんを楽しませられないってわからなかったですね。でも、やっぱり、ステージに立ったら楽しくなっちゃう。自分が楽しむことが最終的には一番大事になることを忘れなければ、苦しみ、大変なことも乗り越えられると思うんです。
 自分自身、浜松まつりじゃないですけど、みんなでわぁーって盛り上がることが好きなんですよ。エネルギーをかけて喜びのために向かうのであれば、どんなこともうまくいくと思います。もちろん挫折はあると思います。辛いことも絶対にあるけど、辛いことは楽しみのために乗り超えられる、それができた人が音楽家として残っていると感じています。

浜松にはよく帰ってこられますか?必ず寄る場所はありますか?

 年に1回は夢・汎ホールで演奏をしています。両親が音楽好きで、浜松市内のいろいろなイベントをお手伝いしていたので知り合いも多くて、よく声をかけていただきますね。ヤマハ吹奏楽団で14年間指揮者を務めていましたし、ヤマハの楽器の試奏や製作のお手伝いをすることもあるので、時々帰ってきますね。浜松に帰ってきた時には、まず、『八百徳』の鰻茶漬け!それから、オークラアクトシティホテル浜松に泊まった時は『とぅくとぅく』によく行きますね。『さわやか』にも行きます。餃子はどこのお店に行っても美味しいですけど、ヤマハの豊岡工場の人たちに教えてもらったお気に入りの餃子屋さんもあります!やっぱり、浜松の王道グルメは押さえて帰りたいですね(笑)

今後、挑戦してみたいことはありますか?

 10月にサーラ音楽ホールでアンサンブルムジーク浜松さんと開催しましたが、市民参加型のイベントをまた開催出来たらと思っています。学生から大人まで集まって一つの音楽を作る、世代を超えたからこそできることがあるのかなと思っています。皆で集まり、楽しみながら音楽をする、そんなイベントがいいですね。今回のコンサートを通じてまた新たな出会いがあり、実現出来たら嬉しいですね。

今回のデビュー40周年コンサートはどんなコンサートになりそうでしょうか。

 浜松ならではのコンサートにしたいと思っています。ヤマハ吹奏楽団の指揮者を14年していたので、そのコンビネーションが聴きどころですし、吹き振りもします。昨年、結成35年を迎えたサクソフォン四重奏、トルヴェール・クヮルテットのメンバーと共に、人間性を語るサックスという楽器を通じ、皆さんに音楽の楽しさを伝えたいと思っています。最後に、僕が石川亮太さんに「日本民謡のメロディや津軽三味線のフレーズを使ったラプソディを!」と依頼して作曲いただいた「日本民謡による狂詩曲」を出演者全員で演奏します。すごくカッコイイ曲で、本当にお祭りのように盛り上がります。やっぱり祭り好きは祭りで終わる(笑) 吹奏楽をやっている学生さんや若い世代も聞いて欲しいですし、おじいちゃんおばあちゃんにも聞いて欲しい!絶対に知っている曲がありますから。僕のコンサートは幕の内弁当みたいに、何でもあるぞみたいな感じなんですよ。絶対に気に入ってもらえる曲が1曲はあるはずですから!エンディングに向けてお祭り騒ぎのようにコンサートを盛り上げていきますので、楽しみに来てください!!

最後に、本誌をご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

浜松の地で育まれた心を大切に、40年間演奏活動をしてきました。浜松人としてのテンションの高いところも皆さんにお伝えしたいですが、音楽を通して皆さんとこれからも深い繋がりを持っていきたいと思っています。

須川展也デビュー40周年コンサート

2024年3月31日(日)15:00開演
アクトシティ浜松 大ホール
出演 須川展也、トルヴェール・クヮルテット、小柳美奈子、ヤマハ吹奏楽団
全席指定 指定席(1階席) :2,500円 
     自由席(2階席~):一般1,500円 学生1,000円(24歳以下)

公演の詳細は、こちらをご覧ください。